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Suda Note | 社長ブログ

退職する際のお約束 | ユナイトアンドグロウ株式会社

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2021.09.28

日本は外国と比べて、長期雇用/長期勤務が好まれる傾向が強いと言われます。労基法の規定で解雇も強く制限されています。ジョブ(仕事内容)単位で雇用契約を結ぶ外国的な関係性と比較すると、日本では「コミュニティへの加入」という感覚が労使ともに強く、職務の定義や成果の設定はゆるやか、もしくは曖昧で、長期での雇用が互いに暗黙の期待となっている、などと解説されます。

高度経済成長が終焉した1990年以降、実に30年間にもわたって、メディアでは「雇用の流動化が必要だ」「転職を促そう」と語られてきたと思います。しかし、流動化はあまり進んでいません。「一つの組織で働き続けるのが美徳」というような潜在意識が、日本社会全体ではまだ根強くあるように思います。

当社でも退職者が出ると、「仲間が辞めるのは悲しい」「どうしてなんだ」という、ざわっとした反応が必ずあります。同名の小説から映画にもなった『桐島、部活やめるってよ』という作品がありますが、クラスメートがコミュニティを抜けるかもしれない、ということが作品の題名になってしまうくらいに、今でも日本社会では重要事項なのではないか?もしアメリカで同じような題の作品があったとして目立つか?と考えると、全然目立たないような気がします。

当社では、この、日本社会の岩盤ともいえる雇用慣習を最大限に大事にしています。無期限雇用を前提とする組織をつくり、その上で、「シェアード社員」のサービスにおいては擬似的な転職を次々と実行できる「究極の流動化」を、ビジネスモデルにしています。

「ジョブ単位の労働契約による組織」をつくるのではなく、「特定の目的をもったコミュニティ、共同体組織」となるように、様々な工夫をこらしています。それが当社の事業目的や顧客要望にも合致するので自然とそうなってきたわけですが、しかしその結果として、コミュニティから抜ける人(退職者)が出た際には、組織に軽いショックが走ることになります。私も正直いって悲しいです。そこで、「退職する際のお約束」という研修が発案されて、入社の際に必ず行うようになりました。入社したばかりの人に退職の話をするわけですから、少し驚かれたりもします。

研修で伝えていることは、「消えるようにいなくなってはダメ」ということです。退職後何年経っても挨拶や相談に来られるような、良好な人間関係・信頼関係をつくりながら辞めてほしい。辞めるにあたっては、本当の話ではなくて少々つくり話でも良いので、「なるほどそうか。」と周囲が納得し、認めてくれそうな説明をして、悔いの残らないような手順を踏んでほしい。また、会社としても、そうなるように最大限の協力をします。この手順を踏むことは、潜在的な行動の記憶として本人の中に残ります。「ちゃんとした辞め方をしたかどうか」は、その人の未来に幸運が巡ってくるかこないかに、多大な、決定的な影響を与えると私は信じます。上手な辞め方をしてほしいとみんなで願って、入社早々に研修をおこなっています。

「お約束」の中で少々変わっている項目としては、「辞める人は、社長にアポをとって会話して記念写真を撮る」「それを社長が社内SNSで社員にお知らせする」というのがあります。短時間ではありますが、私も本人から振り返りの話を聞かせてもらいます。「社長としっかり話をして、応援されつつ辞めるのだな」ということが社内に伝われば、本人だけでなくコミュニティにも前向きな記憶が残り、お互いにより良くなっていくと考えます。

私自身にも20代の頃に転職経験が何度かあります。当時の精一杯の努力で、人間関係や信頼関係をつないできたつもりではあります。ある会社では、退職した後にもかかわらず社長・専務・部長を自分の結婚式にお呼びしたこともありました(すみませんでした!)。しかし、「先輩たちには大変お世話になったのに、早々と辞めてしまい、申し訳なかった」という反省はどうしても残りました。ところがその後、10年・20年が経ち当社をつくった際に、なんと過去の上司や社長が次々と連絡をくださって、ギリギリの当社を助けてくださいました。本当に有り難かった。「不義理になってはいなかったんだな」と、その時はじめて気づかされました。先輩だけでなく、これまで本当にたくさんの幸運や巡り合わせに助けられてきましたが、その時々の人間関係・信頼関係を大切にすることが自分の将来を決めるのだと、今になってあらためて学ばせていただいています。

ここまで書いて思い出しましたが、1社目でお世話になった会社では、退職の際、上司の指示で社長室に1人で行き挨拶をしました。入社以来一度も話したことのなかった社長と、そのとき初めて対面しましたが、「なんで挨拶を?」と思いつつ出向いたことや、社長からいただいた短い言葉を、今でもよく覚えています。当時の上司はきっと、「いつだったら社長が自室に居て、部下を挨拶に行かせられるか?」ずっと気にかけてくれていたのだなと思います。あらためて感謝いたします。

入る時よりも出る時の手順が大切。それがユナイトアンドグロウでのお約束です。

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