UG Column

UG コラム

なぜ「派遣契約」を選ばないのか? 偽装委任/偽装請負ではないのか?

Suda Note | 社長ブログ
2013.10.06

新しくお取引がスタートした上場企業の法務担当者から、以下のように質問をいただきました。
すでに解決済みの話ですが、他のお客様からも聞かれる可能性がありますので、当社の考え方を述べさせていただきます。

質問—————————————–
当社(注:お客様企業)の顧問弁護士からの指摘です:

・貴社と当社の間の業務指示に関して、フローが明確にありません。
貴社担当者は当社担当者から直接、業務上の指示を受けることになると思われます。
・費用が、労働時間に対して支払われています。
(利用規約によると、労基法上定められた残業代に対応する割増もされています)
・常駐型の契約内容では、貴社担当者は当社「専任」となって常駐すると説明されています。

これらのことから、実質上は派遣に該当する「偽装委任」であると考えられる恐れが強いと言えます。

偽装委任の場合、派遣先である当社に対する罰則としては、派遣法上は、行政庁からの「指導・勧告」およびこれに従わない場合の「公表」があり、平成24年の派遣法の改正において、「違法派遣であることを知りながら派遣労働者を受け入れている場合には、派遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとにみなす」旨の「労働契約申込みみなし制度」が創設されています(施行は平成27年10月1日から)。
—————————————–

このような指摘に対して、実際には様々な契約上/業務フロー上の措置を講じています(ここでは説明を割愛します)ので、「シェアード社員」の契約は派遣法上もその他の労働法規上も問題ないと考えています。

しかし法律云々の前に、私としては以下のように答えたい。今日はそれが本題です。

1)当社の人員は、当社と無期限の労働契約を結んでいます。

期間の定めなき労働契約いわゆる正社員雇用です。(社員Type1)
一部のプロフェッショナル人材は、個人事業主(社員Type2)として契約しています。
就業規則や情報セキュリティ規定などの社内ルールは、どちらの人材に対しても共通で適用しています。

2)お客様は契約を選べます。

(A)特定労働者派遣契約、または(B)業務委託契約(準委任型会員制サービス)の、どちらかです。
ただし現在、派遣方式の契約事例はゼロです(過去には2件実績があります)。

お客様が、当社人員に対して指示命令/管理監督を行うことができ、なおかつそれを強く希望される場合は、特定労働者派遣方式で人員を提供いたしますのでご相談ください。

3)派遣契約を当社もお客様も積極的に選択しない理由は2点あります。

 ・仕事の特性上、派遣が向いていない、または不可能。

 ・働く人にとってより良い方法を選ぶべきという当社の理念による。

4)仕事の特性について。

中堅・中小企業の「情報システム部門」の現場において、顧客のご担当者(上長に該当する人)が、時間単位で明確な指示命令を担当者に対して常に出せるかというと、実際は難しいと考えます。
仕事の中にはルーチンワークも多くありますが、少人数の情報システム部門の場合、仕事内容は多岐にわたります。

当社人員は、自らの裁量で仕事の内容や優先順位を規定し、お客様に提案・相談・報告をしながら、成果をあげることが期待されています。
日常の仕事で遭遇する課題や問題を解決する手段・手順には、常に複数の選択肢があり、そのうちのどれを選ぶか、どのように実行するかも、多くの場合は本人に任されています(任せざるを得ない)ので、当社では「準委任型の業務委託契約」を締結しています。

5)働く人により良い方法、について。

当社はもともと、「少人数の情報システム部門では、社員がうまく育たない。派遣や外注を活用するだけでもうまくいかない。どうすれば良いか?」という問題意識から創業されました。

8年間、260社との取引、120名以上の累積雇用経験の中から生まれてきたのが、社員雇用と派遣契約の中間形態である「シェアード社員」と通称している契約方法です。

これは、まず第一に、働く人のために存在する仕組みです。

派遣契約では、お客様側に雇用と監督の権限および責任が移転しますので、ルーチンワークや仕事の範囲が限定できる働き方を期待するタイプの人(ならびに職場)にとっては有効な契約方法です。

しかし当社では、システム部門を支える知識労働者としての成長と自主自立を指向する人材(=システム部門のコアメンバーになれる人材)を集めて長期育成するという、そもそもの事業目的があります。

成長志向の高い人材にとっては、指示をあおいで指示どおりに仕事をする派遣の契約形態は、一見居心地が良さそうで、実は成長機会を減らしてしまう副作用があります。
ですから、派遣契約のほうが法律上正しく見えても、当社としては安易に選択するわけにはいきません。

また、情報システム部門で要求される知識や経験は非常に幅広いため、現実的には少人数で全てをカバーすることが難しい。
同じ仕事に携わる多くの経験者と知識交換や意見交換をしながら、時には現場で助け合いながら、刺激を受け続け、成長し続けるような人に向いている仕事です。

当社が人員を1名だけ常駐(ステイオンサービス)でお客様先に提供している場合でも、時には担当者自らの提案によって、別の人員をお客様オフィスへ訪問させ、仕事を処理することがあります。(当社の、ポイント制の課金システムがうまく活かせます)

このため当社では、社員全員が電話やインターネットを利用して連絡をとりあったり、頻繁に本社に集まって勉強会や情報交換会を開いています。
時には、担当者一人(のように見える)契約であっても、別の人間が現場訪問をして仕事を手伝うことがあります。現場に行かずとも、裏でアドバイスをするなど、手伝っていることがあります。

現場では一人かもしれませんが、実際には70名のバックサポートがあります。
これによって、成果があがりやすくなり、本人のキャリア形成も加速します。

お客様には、雇用責任や管理監督責任をあまり気にすることなく、無理難題を担当者に向かってストレートに要求していただきたいと思います。当社はこれを、一人ではなく、集団で受け取り、個人の成長機会につなげています。

・・・・・

以上のような理由から、当社では(そしてお客様も)「能動的な理由」で特定労働者派遣を選ばずに、準委任型の業務委託契約を選択しています。

これは、会計事務所や監査法人、コンサルティング会社の仕事のスタイルと似ています。
時間単位で課金する点も似ています。

なお、夜間や深夜の時間単価が高くなるのは、残業規定のためではなく、人員確保の難易度が高まるために市場価格を反映させている、という考え方によります。

・・・法律は現状の後追いです。悪質なものを取り締まるためにあるのであって、良質なもの、革新的なものにはうまく適用できないことがあります。

法制度に合わせれば良い、合わせるべき、合わせたから安心というレベルで発想や行動をしていては、決して世の中を良くはできないと思います。

お客様へ。小さな組織の情報システムの仕事は、働く人にとっての成長機会が無限にあります。ぜひ、派遣スタッフで楽をすることなく、当社のスタッフを使って、厳しく要求をしてください。

須田騎一朗
ユナイトアンドグロウ代表
TOP